最終更新日:2024/6/15
「最近よく聞くRAGとはどのような技術か知りたい」
「RAGを導入するメリットや注意点を知りたい」
このようにお考えではありませんか?
AI技術の発展とともに、AIモデルを実際の業務で活用するための技術にも注目が集まっています。
そこで、今回はRAG(検索拡張生成)の仕組みを解説するとともに、RAGを導入するメリットや注意点、活用例を解説します。
RAGを活用することで、ChatGPTといった大規模言語モデルの回答精度を向上させることも可能になるので、さまざまな業務を効率化できるでしょう。
なお、弊社が提供するSEOに強いAIライティングツール「トランスコープ」も、ChatGPTの技術を応用しております。
ChatGPTについては、ChatGPT・OpenAI・GPT-4とは?もあわせてご覧ください。
RAG(Retrieval Augmented Generative)は、外部データを参考情報として使うことで、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の回答精度を上げる技術です。
日本語では、検索拡張生成と呼ばれています。
RAGではさまざまな情報を外部から参考情報として取り入れられるので、生成AIモデルが苦手とする「最新情報」や「企業固有の情報」に関する回答も生成可能です。
そのため、顧客対応チャットボットや社内の業務サポート、医療分野での診療サポートなど、さまざまな分野で業務の効率化に役立つでしょう。
大規模言語モデルについて詳しく知りたい方は、【最新版】LLM(大規模言語モデル)とは?概要と主なLLM10選もあわせてご覧ください。
また、生成AIについては、生成AI(ジェネレーティブAI)とは?おすすめツール12選もご参考ください。
RAGでは、外部情報やインターネット上の情報を参照して、生成AIが質問に対する回答を生成します。
イメージとしては、生成AIにマニュアルを与え、それを参考に回答してもらう感じです。
まずはマニュアル(外部情報)から質問に関連性の高い情報を検索し、その情報を使ってAIが回答を生成するという段階を踏むことで、より精度の高い回答が可能になります。
以下は、RAGを使った質問から回答生成までの流れです。
このように、RAGには「検索フェーズ」と「生成フェーズ」の2つの段階があるのが特徴です。
検索フェーズでは、外部のデータベースやインターネットの情報から、質問に関連性の高い情報を検索して参考情報として抽出します。
RAGでは、検索フェーズで抽出した情報を元に回答を生成します。
つまり、検索フェーズで「いかに関連性の高い情報を抽出できるか」が、その後の回答精度を上げる鍵と言えるのです。
また、そもそも参考情報に間違いがあると、それをもとに間違った情報を提供してしまいます。
そのため、RAGではソースとなる情報が正確であることも重要です。
生成フェーズでは「入力した質問」と「検索フェーズで抽出した検索結果」の2つを使い、AIモデルが回答を生成します。
RAGでは、生成の際に参考情報が添えられているため、より精度の高い回答を生成できるのが特徴です。
AIが生成した回答は、アプリケーションを通してユーザーに提供されます。
RAGと混同されやすい技術として、ファインチューニングがあります。
ファインチューニングとは、目的に合わせて大規模言語モデルを調整するために、特定のタスクに関するデータセットで再トレーニングすることです。
RAGとファインチューニングは、どちらも特定のタスクに合わせてAIモデルをカスタマイズするアプローチ方法です。
しかし「モデルに学習させるかどうか」という点で大きく異なります。
ファインチューニングでは、AIモデルに新たなデータを学習させて、目的のタスクに適したモデルに調整します。
一方で、RAGではAIモデルには手を加えません。
RAGでは目的のタスクに必要な参考情報を与えることで、特定のタスクに対応できる状態に調整します。
次に、RAGを導入するメリットを解説します。
それぞれ解説します。
RAGのメリットの1つ目は、最新情報を取得できることです。
通常、生成AIモデルは事前学習した情報をもとに回答するため、学習を終えた時点より後のことに関しては正確に答えられません。
たとえば、Claude 3 Sonnetに「2024年4月の日経平均の推移」について質問すると「私の知識ベースは2023年8月時点のものなので、2024年4月の具体的な日経平均株価の推移についてはデータを持ち合わせていません」と返ってきます。
しかし、RAGを使って参考データとして最新情報を与えれば、最新情報を問う質問にも対応可能です。
ニュースや市場データなど、情報の変化が激しい分野でAIを活用する際に、RAGは大いに役立つでしょう。
RAGのメリットの2つ目は、ハルシネーションを抑えて回答精度を向上できることです。
ハルシネーションとは、AIが「事実とは異なる情報」や「存在しない情報」を生成する現象のことです。
ハルシネーションの原因は複数考えられますが、「学習データの不備」や「データの理解不足」も原因としてあげられます。
生成AIを使う上で、ハルシネーションをゼロにすることは難しいです。
しかし、RAGでは参考情報があらかじめ用意されているため、ハルシネーションを抑えてより正確な回答が可能です。
RAGのメリットの3つ目は、情報源がはっきりしているので、回答の正誤を判断しやすいことです。
AIが生成する回答は必ずしも正確とは限らず、場合によってはソースとなる情報自体が誤っているケースもあります。
そのため、生成AIを活用する際はファクトチェックが必要です。
通常、ファクトチェックには手間がかかりますが、RAGでは参考情報を引用して回答が可能です。
ユーザーは回答に添付の引用情報を確認することで、手間をかけずに回答の正誤を確認できるでしょう。
RAGのメリットの4つ目は、より専門的な回答が可能であることです。
たとえば、金融・医療・法律といった分野では、正確で専門的な情報が求められます。
しかし、生成AIモデルだけでは専門性の高い回答や個別具体的な回答は難しく、専門性の高い分野では特にRAGが役立つでしょう。
最新のデータや専門的な論文などをRAGの検索情報として使用することで、より専門的で正確な回答を生成できるからです。
また、社内マニュアルや営業データといった情報を検索に使うことで、自社ノウハウを反映した回答や社内規定に則った回答も生成可能です。
RAGのメリットの5つ目は、情報の更新が容易であることです。
通常、生成AIモデルの情報を更新するためには、再度モデルに学習させる手間とコストがかかります。
一方でRAGは、外部情報として使用するデータベースを更新するだけで、AIモデルの出力結果に最新情報を反映できます。
AIモデルを再学習する必要がないため、コストや手間を抑えて情報の更新が可能です。
RAGを導入する際には、以下の4点に注意しましょう。
それぞれ解説します。
RAGでは、与えられた情報を基に回答が生成されます。
そのため、ソースとなる外部情報に含まれていないことには正確な回答ができません。
また、ソースとなる外部情報に古い情報や誤った情報が含まれていると、出力される回答も誤った内容になってしまいます。
RAGを導入する際は、外部情報のファクトチェックや定期的なメンテナンスを行いましょう。
RAGでは、プライバシーとセキュリティーの確保が必要です。
外部データベースから情報を取得する際に、プライバシーやセキュリティの問題が生じる可能性があるためです。
たとえば、個人情報や機密情報が含まれているデータベースから情報を取得する場合、個人情報や機密情報が不適切に使用されたり漏洩したりするリスクが考えられます。
データポリシーの実施・データ送受信の暗号化・データベースへのアクセス権限の管理など、適切な対策を講じておきましょう。
RAGを活用しても回答精度を100%にすることは難しく「参考情報の検索がうまくいかない」「ユーザーの求める回答をうまく生成できない」といったケースも起こりえます。
回答精度は、質問の仕方や検索方法、回答生成をリクエストする際のプロンプトによっても変わります。
そのため、ユーザーやシステムの目的に合わせた調整が必要です。
RAGは回答を生成する前に検索処理を挟むため、AIモデルだけを使う場合と比べて回答に時間がかかる場合があります。
問い合わせへの自動対応といった業務にRAGを導入したい場合には、回答時間がユーザーの満足度に影響する可能性もあるでしょう。
続いて、RAGの活用例を4つ紹介します。
それぞれ解説します。
RAGは、顧客からの問い合わせへの自動対応に活用できます。
たとえば、過去のFAQ・返品ポリシー・製品の在庫状況・配送状況といった情報を参照して、問い合わせ内容に適した自然な回答の提供が可能です。
RAGの検索情報として、社内のマニュアル・資料・過去の営業データなどを用いることで、以下のような社内業務に役立ちます。
RAGを導入することで、今まで人の手で行っていたさまざまな業務の効率化が可能になるでしょう。
RAGは、医療分野での診断支援システムへの活用も可能です。
たとえば、特定の症例に関する最新の研究論文や診断ガイドラインなどを検索データに用いることで、適切な情報に基づいた診断や治療オプションの提案が可能になります。
RAGを医療分野に活用することで、診断の正確性や患者ケアの向上に役立つでしょう。
RAGは教育分野へも応用でき、オンライン学習プラットフォームでの活用などが可能です。
たとえば、特定の課題に関する詳細な説明や参考資料を検索データに用いることで、ユーザーの質問に対して正しい答えや分かりやすい解説の提供が可能になります。
このような自動チュータリングシステムは、ユーザーの疑問をスピーディに解決し、効率的な学習に役立つでしょう。
今回は、RAG(検索拡張生成)の仕組みやメリット、注意点と合わせて活用例を解説しました。
RAGを活用すると、ChatGPTなどの大規模言語モデルの回答精度を向上させ、さまざまな業務をより効率化できます。
ChatGPTの最新情報について知りたい方は、GPT-4oの特徴や使い方、実際の利用例まで徹底解説もご参考ください。
また、下記のコラムでは話題のAIツールについて詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
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最終更新日:2024/6/15
シェアモル株式会社 代表取締役
齋藤 康輔
大学在学中に半導体のシミュレーションを専攻する傍ら、人材会社にてインターン。
インターン中に人材会社向け業務システムを開発し、大学卒業後の2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、マッチングッド株式会社を設立。
12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。
売却資金を元手に、シェアモル株式会社を設立。
AIを利用したM&A・事業承継の仲介サービス「シェアモルM&A」とSEOに強い文章をAIが作成する「トランスコープ」を展開中。
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